Firebase CLI に組み込まれているデータベース プロファイラ ツールを使用して、Firebase Realtime Database のパフォーマンスを測定します。プロファイラ ツールは、特定の期間内に発生したデータベースのすべてのアクティビティをログに記録し、詳細なレポートを生成します。この詳細なレポートを使用して、データベースのパフォーマンスに関する問題をトラブルシューティングし、問題の領域を特定して、インデックス付けされていないクエリを減らすことができます。
プロファイルを作成する
Firebase Realtime Database のプロファイル作成を開始する前に、最新バージョンの Firebase CLI を使用していること、プロファイルを作成するデータベースとプロジェクトに対して CLI を初期化していることを確認します。プロジェクトのプロファイルを作成するには、自分がそのプロジェクトの編集者またはオーナーである必要があります。
次のコマンドを使用して、データベースのプロファイル作成を開始します。
firebase database:profile
プロファイラは、データベースからのオペレーションを記録してプロファイルを作成するとともに、ステータス メッセージを表示します。プロファイルの作成が完了したら、Enter キーを押して結果を表示します。
結果を解釈する
プロファイラ ツールは、データベースのオペレーションに関して収集したデータを集計し、速度、帯域幅、インデックス付けされていないクエリという 3 つの主要カテゴリに分けて結果を表示します。
速度
Speed Report は、オペレーション タイプごとにサーバーのレスポンス時間(ミリ秒単位)を測定します。ただし、Speed Report で測定される速度は、エンドユーザーが体感する実際の速度を反映していない場合があります。これは、ネットワーク条件などのさまざまな要因によってクライアント側で遅延が発生する可能性があるためです。
Speed Report には次のプロパティが含まれます。
- Path: オペレーションが発生したデータベース内のパス。子ノードの数が 25 を超えると、子ノードを親のパスにまとめて
$wildcard
マーカーが追加されます。データベースのルート ディレクトリはスラッシュ(/
)としてレポートに表示されます。 - Count: 指定されたパスで発生したオペレーションの数。
- Average Execution Speed: サーバーで、当該パスで特定のオペレーション タイプを処理するのに必要なビジネス ロジックを実行するのにかかる平均時間。ここで測定される期間の開始点は、下記の「Average Pending Time」によって測定される期間の後です。
- Average Pending Time: リクエストが実行される前にキューに入っていた平均時間。この遅延は、クライアントが開始するすべてのリクエストで共通です。サーバー側リクエストのレイテンシの合計は、そのリクエストの保留時間と実行時間の合計とほぼ同じです。
- Permission Denied: 指定されたパスで、データベースの Firebase Database ルールによってブロックされたオペレーションの数。
オペレーション タイプ別の Speed Report | |
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Read Execution Speed | データベースからデータを読み取るクライアント リクエストに対するサーバーのレスポンス時間。一般的に読み取り実行時間は読み取られるデータ量に比例しますが、読み取りが小規模であってもキャッシュ プリフェッチによって遅延が生じる場合もあります。 |
Write Execution Speed | データベースにデータを書き込むクライアント リクエストに対するサーバーのレスポンス時間。書き込み実行時間は、書き込まれるデータ量に比例します。 |
Connect Execution Speed | データベース クライアントへの接続を確立するリクエストに対するサーバーのレスポンス時間。接続リクエストのレイテンシは、サーバー側の接続管理に関連するメモリ内ブックキープによって左右されます。 |
Broadcast Execution Speed | 指定されたパスのリアルタイムの更新をリッスンしているクライアントに対してサーバーがデータを配信するのに要した時間。 Broadcast Speed レポートの Count プロパティで集計されるのは、発生したブロードキャストの数であり、情報を受信したクライアントの数ではありません。たとえば、指定されたパスをリッスンしているクライアントが 10 台あり、10 台すべてのクライアント宛てにサーバーが 1 件の更新情報をブロードキャストした場合、データを受信したクライアントが 10 台であっても、ブロードキャストのカウントは 1 回になります。 Broadcast Speed レポートには、Permission Denied プロパティは含まれません。 |
帯域幅
Bandwidth Report を見ると、データベースで送受信のオペレーションに使用されているデータ量がわかります。ただし、Bandwidth Report には他のオペレーション(データベースのプロファイル作成など)に使用された帯域幅は含まれないため、このレポートを料金の見積もりに使用しないでください。Bandwidth Report で示されるのは、データベースとの間で発生する読み取り、書き込み、ブロードキャストのオペレーションで使用されるデータのペイロード サイズの概算です。つまり、これはパフォーマンスの測定ツールであり、料金を予測するツールではありません。
Bandwidth Report には次のプロパティが含まれます。
Path: オペレーションが発生したデータベース内のパス。子ノードの数が 25 を超えると、子ノードが親のパスにまとめられます。
Total: 指定されたパスでのすべてのオペレーションで使用された送信バイト数と受信バイト数の合計。
Count: 指定されたパスで発生したオペレーションの数。
Average: 指定されたパスでのすべてのオペレーションでダウンロードまたはアップロードされた平均バイト数(書き込みあたりのバイト数、または読み取りあたりのバイト数)。
Bandwidth Report | |
---|---|
Downloaded Bytes | クライアント SDK および REST API から送信された読み取りオペレーションとブロードキャスト オペレーションによって使用されたデータ量。 |
Uploaded Bytes | データベース サーバーが受信した書き込みリクエストによって使用されたデータ量。削除は 0 バイトの書き込みとしてアップロードに分類されます。 |
インデックス付けされていないクエリ
インデックス付けされていないクエリを実行すると、ある場所に存在するすべてのデータがダウンロードされてから検索が実行されるため、コストが大幅に増加する可能性があります。これにより、帯域幅が必要以上に消費されます。インデックス付けされていないクエリをできるだけ多く解決することで、データベースのパフォーマンスを最適化することができます。
Unindexed Queries レポートには次のプロパティが表示されます。
- Path: インデックス付けされていないクエリが発生したデータベース内のパス。
- Index: インデックス付けされていないクエリを解決するために追加すべきルール。インデックス付けの詳細については、データにインデックスを付けるをご覧ください。
- Count: 指定されたパスで発生したインデックス付けされていないクエリの数。
高度なプロファイル作成
データベースで処理されているすべてのオペレーションを表示するには、データベースのプロファイルを作成するときに --raw
フラグを次のように使用します。
firebase database:profile --raw
生の出力には、userAgent
文字列や IP アドレスといった各オペレーションのクライアント情報も含まれます。Firebase Realtime Database でプロファイルの作成に使用されるオペレーションの詳細については、Firebase Realtime Database オペレーションのタイプをご覧ください。
プロファイラ ツール: 料金ツールではない
プロファイラ ツールを帯域幅コストの見積もりに使用しないでください。プロファイラ ツールは、データベース パフォーマンスの全体像を把握して、オペレーションの監視や問題のトラブルシューティングに役立てるためのツールであり、料金を見積もるためのツールではありません。ネットワーク トラフィックは考慮せず、レスポンスで送信されるアプリケーション データの予測のみ記録します。
データベースのプロファイルには含まれず、Firebase で課金されるネットワーク トラフィックの一般的な例としては、以下のものが挙げられます。
- プロトコルのオーバーヘッド: セッションを確立して維持するためには、サーバーとクライアント間に追加トラフィックが必要です。このトラフィックには、基盤となるプロトコルに応じて Firebase Realtime Database のリアルタイム プロトコル オーバーヘッド、WebSocket オーバーヘッド、HTTP ヘッダー オーバーヘッドが含まれます。このようなオーバーヘッドは SSL 暗号化オーバーヘッドと併せて、接続が確立されるたびに接続コストが発生する原因となります。一般的に、それほど大きな帯域幅にはなりませんが、ペイロードが小さい場合や頻繁に短い接続を繰り返す場合は、それなりのコストとなる可能性があります。
- SSL 暗号化オーバーヘッド: セキュアな接続に必要な SSL 暗号化オーバーヘッドに関連してコストが発生します。このコストの平均は、最初のハンドシェイクで約 3.5 KB、各送信メッセージの TLS レコード ヘッダーごとに約 40 B です。ほとんどのアプリにおいて、このコストは課金のうちわずかな割合にすぎません。ただし、多くの SSL ハンドシェイクを必要とする特殊なケースの場合は、この割合が大きくなることがあります。たとえば、TLS セッション チケットをサポートしていないデバイスでは、多数の SSL 接続ハンドシェイクが必要になる場合があります。
詳しくは、課金と料金の見積もりをご覧ください。