Firebase Cloud Messaging(FCM)には、広範なメッセージング オプションと機能が用意されています。このページの情報は、さまざまなタイプの FCM メッセージについて理解し、そのようなメッセージを何に使用できるかを把握するために提供されています。
オプションのデータ ペイロードを含む通知メッセージ
プログラムと Firebase コンソールのどちらからでも、カスタムの Key-Value ペアのオプション ペイロードを含む通知メッセージを送信できます。Notifications Composer では、[詳細オプション] の [カスタムデータ] フィールドを使用します。
通知ペイロードとデータ ペイロードの両方を含むメッセージを受信したときのアプリの動作は、そのアプリがバックグラウンドとフォアグラウンドのどちらで動作しているか、つまり実質的に、メッセージの受信時にそのアプリがアクティブであるかどうかによって異なります。
- バックグラウンドにある場合、アプリは、通知トレイで通知ペイロードを受け取り、ユーザーが通知をタップしたときにのみデータ ペイロードを処理します。
- フォアグラウンドにある場合、アプリは、どちらのペイロードも取得できる状態でメッセージ オブジェクトを受け取ります。
以下に notification
キーと data
キーの両方を含む JSON 形式のメッセージを示します。
{ "message":{ "token":"bk3RNwTe3H0:CI2k_HHwgIpoDKCIZvvDMExUdFQ3P1...", "notification":{ "title":"Portugal vs. Denmark", "body":"great match!" }, "data" : { "Nick" : "Mario", "Room" : "PortugalVSDenmark" } } }
配信オプション
FCM では、Android デバイスに送信されるメッセージ用の特定の配信オプションが提供されており、Apple プラットフォームとウェブで同様のオプションを使用できます。たとえば、「折りたたみできる」メッセージの動作は、Android、Apple、JavaScript / ウェブで、それぞれ FCM の collapse_key
、apns-collapse-id
、Topic
によってサポートされています。詳細については、このセクションの説明と関連するリファレンス ドキュメントをご覧ください。
メッセージの優先度の設定
ダウンストリーム メッセージに配信の優先度を割り当てるオプションとして、標準(normal)と高(high)の 2 つの優先度があります。動作はプラットフォームによって若干異なりますが、標準の優先度と高い優先度のメッセージ配信は次のような仕組みで行われます。
優先度: 標準。アプリがフォアグラウンドで動作中の場合、優先度が標準のメッセージはすぐに配信されます。アプリがバックグラウンドで動作している場合は、配信が延期されることがあります。新着メールの通知、UI の同期の維持の通知、バックグラウンドでのアプリデータの同期の通知など、緊急度の低いメッセージでは、標準の配信優先度を選択します。
優先度: 高。デバイスが Doze モードになっている場合であっても、優先度の高いメッセージは即時配信が試みられます。高い優先度のメッセージは、なるべく早くユーザーに確認してもらう必要のあるコンテンツ向けです。
以下に優先度が標準のメッセージの例を示します。マガジンの購読者に新しいコンテンツがダウンロード可能になったことを通知するために、FCM の HTTP v1 プロトコル経由で送信されることを想定しています。
{ "message":{ "topic":"subscriber-updates", "notification":{ "body" : "This week's edition is now available.", "title" : "NewsMagazine.com", }, "data" : { "volume" : "3.21.15", "contents" : "http://www.news-magazine.com/world-week/21659772" }, "android":{ "priority":"normal" }, "apns":{ "headers":{ "apns-priority":"5" } }, "webpush": { "headers": { "Urgency": "high" } } } }
メッセージ優先度の設定に関するプラットフォーム固有の詳細情報については、以下をご覧ください。
重要なユースケース
FCM API は、緊急速報メールや、API の使用または障害が死亡、人身傷害、環境破壊につながる可能性があるその他の危険度の高い活動(核関連施設、航空管制、生命維持装置の運用など)を対象として設計されていません。このような使用は、第 4. a. 7 条に違反しているため、明示的に禁止されています。アプリの利用規約への準拠と、準拠しなかったことに起因する損害については、お客様が単独で責任を負うものとします。Google は API を「現状のまま」提供します。Google は、お客様またはお客様のユーザーに対して責任やその他の義務を負うことなく、理由の如何を問わずいつでも、API またはその一部、機能、お客様からのアクセスを中止する権限を有します。
メッセージの有効期間の設定
FCM では通常、メッセージが送信されるとすぐに配信されます。しかし、常にそのように動作するとは限りません。たとえば、プラットフォームが Android の場合、デバイスが電源オフまたはオフライン、あるいは利用できない状態になっていることがあります。また、アプリによる過剰なリソースの消費やバッテリー寿命への悪影響を防ぐために FCM が意図的にメッセージの配信を遅らせることもあります。
こうした場合、FCM はメッセージを保存しておき、配信に適した状態になり次第メッセージを配信します。ほとんどの場合は、これで問題ありませんが、アプリによってはメッセージ配信の遅れが許されないことがあります。たとえば、通話着信またはビデオチャット通知のメッセージは、呼び出しが終わってから配信されたのでは意味がありません。また、イベントへの招待メッセージは、イベント終了後に届いても役に立ちません。
Android およびウェブ / JavaScript では、メッセージの最大有効期間を指定できます。その値は 0~2,419,200 秒(28 日)の間で設定する必要があります。28 日は FCM が配信を試みるまでにメッセージを保存できる最大期間です。このフィールドがないリクエストには、有効期間として最長の 4 週間(28 日)がデフォルトで設定されます。
この機能には以下のような用途が考えられます。
- ビデオチャットの通話着信
- 期限が近づいている招待イベント
- カレンダーの予定
メッセージの有効期間を指定するもう 1 つの利点として、FCM では有効期間の値が 0 秒のメッセージに対して、折りたたみ可能なメッセージのスロットリングが適用されないことが挙げられます。FCM は、「今が最後のチャンス」で配信する必要があるメッセージをベスト エフォートで処理します。time_to_live
の値を 0 にすると、直ちに配信できないメッセージは破棄されることに注意してください。ただし、こうしたメッセージは保存されることがないため、通知メッセージの送信についてはレイテンシが最小になります。
以下に、TTL を含むリクエストの例を示します。
{ "message":{ "token":"bk3RNwTe3H0:CI2k_HHwgIpoDKCIZvvDMExUdFQ3P1...", "data":{ "Nick" : "Mario", "body" : "great match!", "Room" : "PortugalVSDenmark" }, "apns":{ "headers":{ "apns-expiration":"1604750400" } }, "android":{ "ttl":"4500s" }, "webpush":{ "headers":{ "TTL":"4500" } } } }
メッセージの有効期間
アプリサーバーが FCM にメッセージを送信し、メッセージ ID を受け取っても、メッセージがすでにデバイスに配信されたことを意味するわけではありません。これは、単にメッセージが配信のために受理されたことを意味します。その後のメッセージの処理は、多くの要因に依存します。
デバイスが FCM に接続済みで、画面がオンになっていて、スロットリングの制限がないという最善のシナリオでは、メッセージがすぐに配信されます。
デバイスが接続されていても Doze モードになっている場合、優先度の低いメッセージはデバイスが Doze 状態でなくなるまで FCM で保管されます。こうした場合は collapse_key
フラグが役立ちます。同じ折り畳みキー(および登録トークン)を持つメッセージがすでに保存されていて、配信待ちになっている場合、古いメッセージは破棄され、新しいメッセージが設定されます(つまり古いメッセージが新しいメッセージによって折り畳まれます)。しかし、折りたたみキーが設定されていない場合は、新しいメッセージも古いメッセージも今後の配信のために保存されます。
デバイスが FCM に接続されていない場合、メッセージは(ここでも折りたたみキーのルールに従って)接続が確立されるまで保存されます。接続が確立されると、保留中のすべてのメッセージが FCM によってデバイスに配信されます。そのデバイスの再接続が一度も行われなかった場合(工場出荷時の状態にリセットされた場合など)、メッセージは最終的にタイムアウトし、FCM ストレージから破棄されます。time_to_live
フラグが設定されていない場合、デフォルトのタイムアウトは 4 週間になっています。
メッセージの配信の詳細を把握するには:
Android または Apple プラットフォームでのメッセージ配信の詳細については、FCM レポート ダッシュボードをご覧ください。このダッシュボードには、Android アプリの「インプレッション」(ユーザーが表示した通知)のデータとともに、Apple デバイスと Android デバイスで送信および開封されたメッセージの数が記録されています。
ダイレクト チャネル メッセージングが有効になっている Android デバイスが 1 か月以上 FCM に接続されていない場合、FCMは引き続きメッセージを受け取りますが、すぐに破棄します。最後のデータ メッセージの送信から 4 週間以内にデバイスが接続した場合、クライアントは onDeletedMessages() コールバックを受け取ります。この場合、通常はアプリサーバーとの完全な同期をリクエストすることで、アプリは状況に適切に対処できます。
さらに、FCM がデバイスへのメッセージ配信を試みても、アプリがアンインストールされていた場合、FCM はそのメッセージをすぐに破棄し、登録トークンを無効にします。それ以降、そのデバイスにメッセージを送信しようとすると NotRegistered
エラーが発生します。
認証情報
実装する FCM 機能によっては、Firebase プロジェクトから次の認証情報の取得が必要になる場合があります。
プロジェクト ID | FCM v1 HTTP エンドポイントへのリクエストで使用される Firebase プロジェクトの一意の識別子。この値は、Firebase コンソールの [設定] ペインで確認できます。 |
登録トークン | 各クライアント アプリ インスタンスを識別する一意のトークン文字列。単一のデバイスとデバイス グループへのメッセージングに必要になります。登録トークンは非公開にしなければならないことに注意してください。 |
送信者 ID | Firebase プロジェクトの作成時に作成される一意の数値。Firebase コンソールの [設定] ペインにある [Cloud Messaging] タブで確認できます。送信者 ID は、クライアント アプリにメッセージを送信できる各送信者を識別するために使用されます。 |
アクセス トークン | HTTP v1 API へのリクエストを承認する短命な OAuth 2.0 トークン。このトークンは、Firebase プロジェクトに属するサービス アカウントと関連付けられています。アクセス トークンの作成およびローテーションを行うには、送信リクエストを承認するに記されている手順に沿って操作します。 |